刀語のDVDを全巻借りてきて一気に見たのでつらつらと考えたことなど。
原作は読んでて、アニメも前に1回途中まで見てます。
この話は、誰の望みも叶わなかったしすべての努力は無駄に終わったしみんな死んじゃったけど、七花に行きてて欲しいっていうとがめの願いだけは叶えられたのかなあとなんとなくしんみりしてしまった昨日。
あっでも、弟に殺されたい、人として死にたいっていう七実の願いも何気に叶ってるな。人の手に余る願いは叶わないってことか。
目的のためなら父を殺した六枝の息子さえ使おうとした、そんなとがめだったから七花は「惚れることにした」んだよね。
でも、その目的を諦めて、全部やめようって言い出しても、だからといって七花はとがめを嫌いにはならなかったと思うし、そのまま側にいたいと願ったんじゃないかなあ。
とがめも、心では七花といっしょにいたいと思ってたし、七花のことが好きだったはず。一緒に旅をして、はしゃいだり嫉妬したりしたのも全部本心。でも彼女にとってはそんな自分の心も、目的のための駒にすぎない。だからとがめは目的を果たせずに死ぬことになってしまった。目的を捨てられなかったがゆえに。
彼我木輪廻がいってた「人はときに、目的のために目的も捨てねばならない」ってこういうことなんだろうなって。
その辺、七花は単純だからなぁ。一応、思慮深い性格ではあるんですけどね。ではあるけど、やっぱり基本単純だし、考えるのが苦手だって公言してるし、めんどくさがりや。
めんどくせーっていうのは結構自己防衛的な部分あると思うんですよ。伝勇伝のライナがもろにこのタイプですねぇ。
彼我木輪廻に「七花のとがめに対する気持ちは恋でも愛でもない」っていわれたけど、「理由なんてどうでもいい、好きなんだから!」って最強ですよ。
根拠があったら反証の危険性がありますからね。根拠がないほうが強い場合もある。
人生は旅のようなものだ、っていいますが、つまるところまあ、ロードムービーですよね。刀語も。
旅=人生の暗喩であり、旅の終わりっていうのは人生の終わりで、死なんです。
だから、とがめが死んで旅が終わるのは必然であったと。
なんだかんだで一番人間らしかったのって、というか一番まともな人間だったのって敦賀迷彩かもなあ。情に厚いというか。情に流されて生きてきたというか。
そういえば西尾作品における最悪っていうのは「どっちでもいい」なんですよね。つまり、刀語における悪役は七実姉ちゃんなんですね。
「どちらでも良いわ、いいえ、どちらでも悪いのかしら」
「そんな事はどちらでも同じことだ」という人類最悪の狐さん(戯言シリーズ)の思考と同じだし、安心院さん(めだかボックス)も同じことを言っているし。
何故「どちらでもいい、結局はみんな同じ、等しく無価値」が最悪なのかと考えると、それは興味の欠如なんだろうなあと。興味が無い、こだわりがない、どうでもいい。
好きの反対は嫌いじゃなくて無関心。無関心こそが西尾作品における『最悪』なのかなと。
七実にとっては全てが等しく雑魚で草でどうでもいい。あれだけ人間離れしていたら区別も何もないでしょう。
一応、弟である七花のことは愛していたみたいですけどね。
だいぶ前にみた覚えがあるんだけど、思い出したので貼っときます。
ニコ動技術部の、変体刀作ってしまった人w