ぬじろぐ

配布とフレンドに全力で寄りかかるソシャゲ日記

ゴンドラとXXXX年の夢

目を覚ますとゴンドラに乗っていた。乗客はわたし一人のようだ。
ゴンドラの中は広く、7畳くらいの部屋に見える。窓は入り口のドアにしかない。
小さなテレビや電灯、冷蔵庫も設置してあり、人一人が生活できそうな空間になっていた。
奥のほうには簡易ベッドもあり、その横の椅子で女の人が帳簿を開いていた。今日の客はやはりわたし一人らしい。

外は真っ暗で、地上からどのくらいの距離があるのかも分からないが、窓にアメーバ状の生物が大量に貼り付いている。
ゴンドラに乗る前…乗った直後?黒くて大きい、木の根が寄り集まったような触手を持つ生き物がゴンドラにもケーブルにもびっしりと取り付いている光景を見た気がする。
いつまでも外を見ていたせいか、彼女は
「大丈夫だよ、入ってこられないから」
と、ややずれた気休めを言った。気にしているのはそこではないのだが、特に何も言わないでおいた。
わたしは、朝には終点につくと言われて再び寝ることにした。

朝になり、「本日は晴れ、穏やかな天気です。」というテレビの天気予報とともに、終点についた。
終点とはビルの側面に開いた大きな穴のことだった。廃棄されたビルを住居として再利用しているようだ。
地上が見えないので巨大なビルであるということしかわからない。
外付けの階段を三階分ほど降りると中庭のような場所があり、小さな子供が一人と、その父親くらいの年代の男が一人、水を撒いていた。
ビニールでコーティングされた銅線の上に蟻が行列を作っている。床や壁面には、ところどころコンクリートを突き破って雑草が生えている。
コンクリートの上に、子供は一生懸命水を撒いている。土を入れて何かを植える発想はないらしい。
そもそも、土に生えている植物を見たことがないのかもしれない。地面は全部コンクリートで固められている。
このビルの中だけで一生を終える人もいる。そのくらい巨大で高いビルだった。

庭の隅にエレベータがあって、ボタンの横に紙が貼り付けられていた。貼ったのは、このビルの住人のうちの誰かだろう。
そこには手書きの文字でこう書かれていた。
『この500階行きエレベータは13XX年に崩壊します』