ぬじろぐ

配布とフレンドに全力で寄りかかるソシャゲ日記

鴉の夢

夢の中で、私は空を飛べる生き物の視点になっている。

その日も私はぼんやりと空の散歩を楽しんでいた。目的はない。
夜中だというのに町には沢山の人が出歩いている。
しかし、私を見て驚く人は誰一人としていないし、考えてみれば出会ったことも無い。
当然のこととして受け入れられているか、或いは見えていないのだろう。
私が「彼女」を知ったのはいつのことだったか。
彼女も私のことを知っている。
しかし、実際に会ったことはない。

意識が繋がっている、とでもいうのだろうか。互いに特殊な能力を持ち合わせていた訳ではないから、恐らくは偶々繋がってしまっただけなのだろうと思う。
他人の考えていることが読み取れたことは、少なくとも私には一度もない。そんな超能力のようなものは持っていない。
彼女とは明瞭に会話ができるわけではない。だが、物語でも読むように互いの考えていることを読み取ることはできる。

やがて私は立派な建物の前に到着した。
巷でも有名な新興宗教の総本山。
中央には高く聳え立つ時計塔。

時刻は午前0時をさしている。
空は夜中とは思えないほど明るい。
この屋上から、今夜、彼女は飛び降りる。