ぬじろぐ

好きなゲーム発表ぬこちゃん

ひぐらしのなく頃に 〜鬼隠し編〜 竜騎士07/講談社BOX

同人出の大ヒットゲーム、「ひぐらしのなく頃に」の作者さんご本人によるノベライズ版。らしいです。
えっと、いろいろメディア展開されてるようなんですが、どれも全く見てません。今回が初です。
店頭で表紙イラストに負けて今回購入(表紙イラストを描かれているのがゲームとは別の方)

文の印象は、地の文が少ないかなという感じ…?その辺りは、元々サウンドノベルだからSEや立ち絵の演出が入るんだろうし、まあこんなもんか。時代背景描写とか、キャラクターの容姿描写みたいなのを挿絵に任せっきりみたいな感じがするのは、小説としてはあんまりいただけないですが。立ち絵とか背景画像の存在を前提にしてるんだろうなーって感じで。
素直にゲームをやってしまえば済む話なのですけれど…やはりゲーム本体をやる気には…絵が云々というよりも私、ノベルゲーム自体が苦手なんです。文字の表示される速度と読むスピードが合わないのと、横書きで。
これ、ノベルゲーム時と比べてどのくらい改訂してあるんでしょう?

ストーリー中の引っかかった所。

多重人格の話はミスリードくさいなと。ネタとして使いやすいのかな…何故か推理物(?)にはよく出てきますね。多重人格ネタ。
額面通り信じるならば、オヤシロさまの呪いは実在し、謎の組織とその手先である魅音とレナが怪しい薬物を注射して圭一を殺そうとした…ということになるのでしょうが。あちこちに、ん?と思う箇所があったのでいかに列挙します。

おはぎの針

本当におはぎに針が入っていたのでしょうか?圭一視点を抜きで考えてみますか。

  • 片付けた家族は針を見ていない。
  • 警察の捜査で針は見つからなかった。

「おはぎに針が入っていた」というのが事実なら、圭一以外の反応がいろいろ妙だと思うのです。
おはぎの針は圭一の被害妄想であり、実際はカラシとかワサビとかの刺激物が混ぜてあった程度なんじゃないか?と考えたほうが辻褄が合う。
これが完全に圭一の妄想だとすると、彼の一人称視点で語られていることは尽く怪しくなってきます。

魅音とレナは圭一を殺そうとした?

圭一が見たもの聞いたものが本当にあったのかが怪しいとなると、「レナと魅音が未知の薬物を注射して圭一を殺そうとした」っていうラストもかなり怪しい。

つまり、『魅音がポケットから注射器を取り出した』というのは圭一の誤認で、本当はただの油性マジックだったのではないか?
というのも、「罰ゲームとして油性マジックで落書き」が日常パートで既に2回出ています。
1回目は部活の勝負で負けた圭一に。2回目は屋台での勝負でビリになった富竹に。その2回とも魅音は「ポケットから取り出して」いる。
これは「罰ゲームといえばマジックで腕に落書き」と印象付けるために、わざわざ2回も繰り返していると読める。
それにしても魅音は常にマジックをポケットに入れて持ち歩いているのか…

魅音は何故、圭一が大石と食事していた事を知っていた?

村の人がたまたま店にいて、その人から聞いた?
もしくは魅音の家はかなりの権力者らしいので、食事していた店を親族が経営しているという線も。

レナは何故両親が不在だと知っていたのか?

レナがそれまでも度々料理や漬物のおすそ分けにきている・毎朝圭一を迎えに来ていることを両親は知っている。しばらく留守にするので、圭一をよろしくと圭一の両親自身がレナに伝えていたかも?
村人の誰かから聞いた可能性もある。田舎ですし、そうでなくてもご近所付き合いが密接な雛見沢ですし。

圭一を轢きかけた白い車
  • 最後に出てきた「レナが呼んだ医者」と思しき人が乗っていた車とは別物?
  • ナンバープレートなど、具体的に特定するための情報や証拠は何もない
  • 圭一が「轢かれそうになった」というのは事実か、それとも思い込みか。
レナが圭一にあれだけの仕打ちを受けても引かない理由

「レナの豹変」みたいなのを全部圭一の被害妄想だと仮定して。それぞれの場面を見返すと、

  • それまで仲良くしていたのにある日急に距離を置かれ、理由も教えてくれない
  • バットで脅される
  • 両親が不在だし、圭一はカップラーメンばかり食べるだろうと心配して手料理を持って行ったら冷たく追い返された上、ドアに手を挟まれる
  • 何か悩みがあるんじゃないかと心配して声をかけたら突き飛ばされる

とまあ、普通だったら絶交もんだろうというくらいの仕打ちをうけている。
それでもレナが圭一の世話を焼き続ける理由は、

  • レナが明らかに圭一に対して好意を持っていること
  • 「悟史くんが転校して本当に後悔した、相談に乗ってあげていれば」という台詞の通り、悟悟史の件で自責の念にも近いものを持っている
    • 悟史の「転校」(おそらく失踪、鬼隠し)の原因は一人で悩んだ末の家出だと思っている?
ダム近くで会った2人の不審な村人

レナが来た時には誰も居なかったとの事。
いくつか考えてみると、

  1. 元から誰もいなかった。全ては圭一の妄想。
  2. 人はいたが、ただの村人であり本当はすれ違った程度。それを圭一が「襲われた」と妄想した
  3. 本当に圭一は不審な人物に襲われたが、無関係な一般人(レナ)が来たので逃げた。
  4. 本当に不審な人物は存在したが、レナが嘘を付いている(彼らとレナがグルである)

ただ歩いていただけの村人を被害妄想に駆られた圭一が殴ったりしたのであれば、すぐさま村じゅうの噂になって「聞いた?この前引っ越してきたおたくの息子さん」「怖いわねえ、これだから都会の子は何を考えてるのか…」みたいな事になるに違いない。
村ぐるみで圭一をどうこうしようとしているとは考えにくいし、何の得があるのか現時点ではわからない。ダム反対や過去の事件などに関連している組織…みたいなものが仮にあったとしても、圭一を狙う意味は何なのだろう。

レナは何故「次に鬼隠しに遭うのは自分だ」と怖がっていたのか?

これが、よくわからない。
レナが鬼隠しに遭うような禁忌を犯したとも思えないし、村人から疎まれているような節も見られない。

監督とは誰か?

会話の流れからして、監督=レナが呼んだ医者なのだろう。
過去の事件の話から、工事現場の監督という線もあるが…読者にそう思わせるミスリードっぽいんだよなあ。
「圭一が最近野球に凝っていると知ったら監督が喜ぶ」という魅音の言葉だけを単純に考えると、野球監督をやっている人のことだと想像できる。実際に監督をしているかどうかはわからないので、「監督」というアダ名が付いているだけの野球ファンなのかもしれないが。
それはともかく、病気の子供の元に呼ばれる人といったら医者だろう。「監督」はあだ名か何かで本来の職業が別にあり、それが医者ということではないだろうか。

白衣を着た人物
  • 先述の監督象から考えると、白衣を着た人物はレナが呼んだ医者だと思うのだが、複数人数で来る理由が不明。
  • レナから話を聞き、暴れる可能性があることを考えて応援を呼んだということ?
圭一が証拠として貼り付けた注射器(おそらくは油性マジック)がなくなっていたのは何故?
  • 真相を知りたい大石さんが、事件のヒントになりそうな証拠品を隠蔽するようなことはあるんだろうか?
    • 貼り付けられていた証拠品がマジックであり、圭一の言っていたことが全て被害妄想であることが分かったら、「頭がおかしくなった男子中学生の事件」として単独で片付けられてしまうから?
    • 友達が怪しいと吹き込んだ自分の責が問われる事を恐れた?
      • そんな悪い人でもないっぽいんだけどなぁ。大石さん。
オヤシロさまの呪いは実在するのか
  • ここまで書いてきた通り、ほとんどの事象は圭一の被害妄想や幻覚だと考えたほうが矛盾が少なくなる。
  • レナが体験したと主張しているオヤシロさま関係の出来事も、圭一と同じ精神状態での出来事だとしたら、やはり妄想で説明がつく。
  • 超常的なものは特にないので、とりあえず今は「呪いではなく人間の仕業+圭一の被害妄想」という線でいきたいかなと。

時代設定について

今のところ、昭和58年である必然性は特に感じられない。そういう設定があったことを忘れそうなのだけど、そのうち関係してくるんだろうか。
現代っぽいネタを排除して、昭和の世界観で攻めたいというわけでもなさそうだし。
文章で読むと、時代背景描写が本文中にすごく少なくて、時代設定を忘れそうになるくらい現代っぽいので、58年だといわれると余計に…
「タタリや呪いが信じられていても不思議ではない舞台が欲しい」のみであり、オタク受けのいい萌えネタも使いたいなら、素直に現代物で舞台だけ過疎化の進んだ田舎や離島にすればいいのだから。実際、そのようにしているミステリー物は多い。
ということは、舞台が昭和58年である必然性が今後どこかで出てくる。

  • 携帯電話やネットを出したくない
    • 外部から隔絶された田舎を演出するため
    • 外部の情報が得られたらまずい?もしくは逆に、個人が世間に情報を公開できる現代では都合が悪い?
    • 携帯電話がないから、固定電話を使わなければならない。固定電話なら、携帯電話よりも別人のなりすましが容易(親子、兄弟など声が似ていれば騙される可能性は上がる)
  • 死因、死体の特定が難しい
  • DNA鑑定の元になったDNA指紋の発見が1984年/昭和59年なのでこれはほぼ間違いないんじゃないかな。
  • つまり、死体を偽装した入れ替わりが今後出てくる?
  • 魅音アナログゲーム好きである理由付け
    • この線はおまけ。今や、屋内で出来る遊びといったらTVゲームが主流ですもんね。

今のところ思いつくのはこのくらい。