夢の中で煮込みハンバーグを注文して窓の外を見ると、「あれ」が店の周りをぐるぐる回りながら何かをさがしている。
「あれ」…何と表現すればいいのか。人のような、化け物のような。
誰かに見えている訳ではない。私にもよく見えない。見えないけれど、数匹いるということはわかる。
気付いているのかいないのか、人のよさそうなマスターは言う。
「最近物騒ですね、夜はあまり出歩かないほうが良いですよ」
そういうマスターも、客が減ってしまってさぞかし困っているだろうに。
ごめんマスター、あいつら多分私を探してるんだ。知られてしまうと危険かもしれないから、声に出しては言わないけど。
ハンバーグを食べ終わる頃には、とりあえず店の周りからあいつらは居なくなっていた。
家に帰ろうと思ったが、考えてみれば家の周りにこそあいつらは沢山居る。
こっちの武装は色のついた30センチくらいの針金みたいな花火が数本。
雨が降っていて、早くしないと湿気ってしまう。
雨の夜に野宿は嫌だ。
花火数本を囮に使えば何とか家まで辿り付けるだろう。