ぬじろぐ

配布とフレンドに全力で寄りかかるソシャゲ日記

夢のなかの誰かの夢

朝起きたら家の中に誰もいなくなっていて、代わりに見知らぬ人の死体が二つ置いてあったら、人はどういう反応を示すだろうか。
これはそういう実験らしい、と夢の中で知っている。

片方の死体は布に巻かれてテーブルの前に肘をつくように座らされており、もう片方は天井からぶら下っていた。
一見すればその姿は自殺体だが、冷静に見れば他殺体というのは明らかで、人一人ぶらさがるには明らかに過剰と思えるほど何本も太いロープが絡まっている。
さて、どうしたものか。

起きたばかりの頭で考える。ここはやはり警察に連絡するべきであろう。
これは実験なのだ。
誰がやったかは知っている。彼女だ。彼女が誰か?それは私も知らない。

しかし証拠はない。警察が調べれば証拠など幾らでも出てくるのだろうが、今私の手元に存在するようなものは一つもない。
「この状況だと、もしかしたら警察はあなたがやったんじゃないかって疑うかもしれないよ?」
電話を手に取ると、昨日の彼女の言葉を思い出した。
確かに、昨日の「彼」はそれを恐れて警察に電話するのを躊躇った。

しかし、実際問題、このまま家の中に死体を放って置くほうが嫌ではないか。
死体を自分で始末するのってとてつもなく面倒そうだし。
それに彼女のことだ、私に罪がかかるような工作はしていないに違いない。これは単なる実験で、私を陥れようとする罠ではないのだから。
そういう点で、私は彼女を信用していた。

警察に電話をかけようと110番を押しかけて、電話の前に下がっていた緊急連絡用電話表が目に入り、見ると警察は88番だった。なんだか拍子抜けしながらも8のボタンを押すが、呼び出し音が鳴るだけで一向に出ない。座っていた死体が音も立てずに倒れた。


事前に「そういう実験だ」と私が知っている時点で実験もなにも成立していない気もするが、夢の中の誰もそんなことは気にしていない。