ぬじろぐ

配布とフレンドに全力で寄りかかるソシャゲ日記

ぬ〜べ〜アニメの創作呪文の話

久しぶりにぬ〜べ〜を読み返したので、ちょっとアニメネタでも。
漫画も復活連載するみたいだし、実写化(心配…)もするみたいだしね。

宇宙天地 與我力量 降伏群魔 迎来曙光
吾人左手 所封百鬼 尊我号令 只在此刻
天地混沌 乾坤蒼范 人世蒙塵 鬼怪猖狂
空海闊 鬼面仏心 鬼哭啾啾 霊感散消

うちゅうてんち よがりきりょう こうふくぐんま ごうらいしょこう
ごじんさしゅ しょほうひゃっき そんがごうれい こうざいひこく
てんちこんとん けんこんそうぼう じんせいもうじん きかいこうきょう
てんくうかいかつ きめんぶっしん きこくしゅうしゅう れいかんさんしょう

読みは多分これで合ってる・・・はず・・
原作では白衣観音経(実在のお経。白衣神咒)を唱えてますが、アニメ版ではそのまま使うわけにいかないという事で架空のお経が使われたそうです(原作コミックより)それが上記のもの。
架空のとはいえ適当ではなく、漢文学の専門家の協力を仰いでおり、押韻や平仄といったルールにも従った本格的なものだということで、声優さんの美声もあってなかなか良い感じに仕上がってます。

これ、現代語訳したらどういう意味になるんだろう とふと思って、ちょっと無理やりですが考えてみました。
ぐぐってみたけど、現代語訳に挑戦してる人が意外にいなかったんだよな〜

宇宙天地 與我力量 降伏群魔 迎来曙光

「宇」は「天地四方上下」(つまり上下前後左右、三次元空間全体)「宙」は「往古来今」(つまり過去・現在・未来、時間全体)を意味し、「宇宙」で時空(時間と空間)の全体を意味する(漢代の書物・「淮南子斉俗訓」)。
「宇」は「天」、「宙」は「地」を意味し、「宇宙」で「天地」のことを表す。

宇宙天地、って同じ意味のことを2回繰り返してることになるんですね。
全ての空間のすべての時間、くらいの意味かな。

與我力量
「與」は「与える」と同じ字。力量は物事を成し遂げる力、もしくは単純に力。

降伏群魔
群魔は悪霊。そのまま書き下して「魔の群れ」と読むこともできるかな。

迎来曙光
迎来=来る者を出迎える、曙光=明け方に差してくる太陽の光、明るいきざし。

吾人左手 所封百鬼 尊我号令 只在此刻
吾人=私。私の左手に封じた鬼、そのまんまですね。
号令=命令
只在=ただ、あるだけ。あるままに。
此刻=今
このあたりは、左手に鬼を封じているという設定から作ったのかな?
作中で「わが左手に封じられし鬼よ、今こそその力を示せ!」みたいなセリフ言ってませんでしたっけ。
多分そんな感じの意味だと思います。

天地混沌 乾坤蒼范
この辺はあんまり聞いた覚えがない…続き、あったんだ。

混沌=天と地がまだ分かれず,まじり合っている状態。無秩序。
乾坤=これも天地の意味。陰陽、いぬい(北西)の方角とひつじさる(南西)の方角。
蒼范=「そうぼう」と読みます。 見渡すかぎり青々として広いさま、ほの暗いさま。流れからして、ほの暗いのほうかなー。

…全然関係ないですが、聖剣伝説LoMでラスボス戦の曲「蒼范の時」ってタイトルでしたよね。

人世蒙塵 鬼怪猖狂
人世=人生…ではなく、多分書き下しで「人の世」ですね。
蒙塵=天子が、変事のために難を避けて、都から逃げ出すこと。
鬼怪=魔物、魑魅。
猖狂=跳梁する。たけり狂っている。

世界は無秩序で、ほの暗い闇におおわれている。
人の世には魔物が跳梁し、天子は都から逃げ出す。

空海闊 鬼面仏心 鬼哭啾啾 霊感散消
空海闊、で一つの単語として出てくるんですね。
闊=カツと読みます。大空と海が広々としていること。転じて、度量が大きく、こだわりのないこと。
鬼面仏心=四字熟語。鬼のように怖そうな顔に、仏のようなやさしい心。
鬼哭=亡霊が浮かばれないで泣くこと。また、その声。
啾啾=しくしくと泣くさま。
散消=これも出てこないんですが、そのまま読むと散り消えるかなぁ。

これどうやってまとめればいいんだろう…
中二全開で無理やりまとめると

全ての空間のすべての時間、曙の光よ、悪霊を降伏せしめる力を与えよ。
我の左手に封じた鬼よ、命令に従い今ここに本来の姿を示せ。
世界は無秩序で、ほの暗い闇におおわれている。
人の世には魔物が跳梁し、天子は都から逃げ出す。
鬼の顔に仏の心を持ち、すべてを受け止める広い心で、
浮かばれず嘆き悲しむ亡霊を解放する。

こんな感じ?返り点のない漢文なんて読めませんので、変な所あるかもしれないですが、だいたいの雰囲気はつかめるんじゃないかなーと。
亡霊を消す、という訳だとなんだかイメージに合わなかったというか、もうちょっと慈悲深い感じにしたかったので、あえて「(この世の未練から)解放する」としてみました。
考えてみれば「成仏」って仏教の考え方で、特定の宗派の呪文を使うわけにいかないから創作呪文を使ってるわけだから、別の言葉で言い表さないといけないんですよね…
そう思ってみると、うまいこと作ってるのかなと新たな発見があったり。

しかし、成仏を他の言葉でなんて言えばいいのやら。
普段、霊能物で成仏って言ってるのは仏になったという意味ではなく、この世に縛り付けている未練から解放されて、行くべき場所(あの世)に旅立つという意味で言ってますよね。

ほんとは白衣観音経のほうも現代語訳した意味を載せたかったんだけど、こっちは流石に単語の意味調べて繋ぎ合わせる程度じゃ無理そうなのでやめました。とほー(´・ω・`)

イメージとしては、
原作の白衣観音経=「南無大慈大悲…」⇒慈悲と救い。どちらかというと無病息災の呪文
アニメ=鬼の手によって悪しき魔物を調伏し、改心させる
という感じです。
悪霊退散なら、不動明王の「ナウマクサンマンダバザラダンカン」のほうが効果ありそうな気がしますが。ゴーストハントのぼーさんはこっち使ってますね。
でもまあ、人に害をなす霊にさえ慈悲をかけるのがぬ〜べ〜の特徴だと思うので、これで良いのかな。

おまけにもう1つ…
玉藻先生の「貧狼巨門隷大文曲廉貞武曲破軍
これは紫微斗数(中国の占いの一種)が元ネタっぽい。北斗七星を構成する星の名前。ただし、元ネタでは貧狼じゃなくて貪狼。
別件で見たことある記憶があるんだけどな…
玉藻先生は「破軍」までしか言いませんが、続きがあるとしたら「天府天梁天機天同天相七殺」となるんじゃないかと思います。