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ぬじろぐ

メモです。議論やコメントは受け付けておりません。当方オタクの女ですので、唐突に腐ったりします。注意。

クレしん 戦国大合戦の感想

最近「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」を見返したので考えたことをつらつらと…
特にオチはないです。

物語として見た時に言いたいことはこちら(ネタバレ注意!)
考察 戦国大合戦

で全部解説してくれているので今更いうことはないのですが、タイムトラベルものとして見た時どうなるかなって方面で。

以下ネタばれを含みます。

まえがき

本作はクレヨンしんちゃん劇場版として公開されたものでして、オトナ帝国と並んで人気がある作品ですね〜。
子供向けアニメと侮るなかれ、です。
はっきりいって、主役はゲストキャラの又兵衛と廉姫なんですよ、この作品。
廉姫が自らの運命に抗う、そして、それはおそらく達成されている。でも結局歴史の流れは変わらないっていう話。

戦国時代の合戦の様子などかなり忠実に再現されているらしく、前述の解説を読んでも分かる通り心理描写も作りこまれていて、だいぶ力の入った作品になってます。

子供に分かりやすい形でのハッピーエンドじゃないっていうのも大人に人気がある要因の一つかも。
見終わってから、又兵衛が結局死んでしまうのは納得できない!とか、又兵衛を撃ったのは誰?というモヤモヤが残る映画なんですよね。こういうのって、子供向けアニメには珍しいんじゃないかなと。

身分の差とか立場とか建前とか運命とか…子供からしたらそんなの分からないし、関係ないじゃん!なんでせっかく悪い奴をやっつけたのにおじさんは死んじゃうの?姫様がかわいそう!って思いますよね。

大人目線で見れば、又兵衛や姫がしんのすけと出会ったことで運命が少しだけ変わり、数日の猶予が与えられたことで大切なものを手に入れる。
ベストではないけれどこれも一つのハッピーエンドだと思えるんじゃないかなーと。

悪い奴をやっつけてお姫様は王子様と結婚して、二人は幸せに暮らしました。めでたしめでたし。で終わる話も過去のクレヨンしんちゃん映画にあるんですよ。
ヘンダーランドがそれ。

…って言ってて気付きましたが、まさに対比だなあ。
映画公開順としては、ヘンダーランド⇒オトナ帝国の野望⇒戦国だったかな?
ヘンダーランドでは、しんのすけが悪い魔女を倒したことで王子様の呪いがとけ、囚われの王女様は解放されて二人は幸せに暮らしました、というエンド。

戦国では、しんのすけが悪い殿さまをやっつけたことで奇跡の時間は終わり、戦に負ければ嫁いでいかなければいけない運命だったお姫様の心は解放されたけれど、愛する人が死んでしまったため生涯独身を誓うというエンド。
まあ、そういう辺りが「クレヨンしんちゃんだけど大人向け」なわけです。

タイムトラベル物的目線での必然

未来からやってきた人物の行動によって歴史が変わってしまう、これはタイムトラベル物ではよくタブーであるから、気をつけなければいけない事として扱われる。

しかし、しんのすけからして見れば、そんなのは知ったこっちゃないのである。
最初は映画の撮影だと思ってたくらいですからw

自分が過去にタイムトラベルしてしまったと知った後も、姫だろうが殿だろうが傍若無人に話しかけ「お股のおじさん」と「廉ちゃん」をくっつけるために発破をかけてみたりする。
これは、身分も歴史も関係ない、現代っ子で無知な子供であるしんのすけにしかできないことだ。
ひろしやみさえは常識的な大人だから、過去にあまり干渉するのは歴史を変えてしまうんじゃないかとか、相手の身分だとか、そういうものを気にしてこういう行動には出られない。

本来、又兵衛は最初の合戦のシーンで草むらの中に潜んでいた雑兵に撃たれて死ぬはずだった。
それが、廉姫の願いによってしんのすけが未来から召喚され、又兵衛は死ななかった。
ここで本来の歴史からズレが生じてしまったわけです。

タイムトラベル物やSFの知識がある人なら、「歴史の修正作用」みたいな概念も知っていると思う。
最後に又兵衛が死んだということは、原因がどうであれ【又兵衛が死ぬ】という事象は運命として決定されていた。或いは、【廉姫と又兵衛は決して結ばれない】という運命か。

作中では、又兵衛を撃ったのは誰なのか結局わからなかったけれど、個人的には、冒頭の合戦シーンで草むらに隠れていた雑兵が撃ち損ねた一発が、時空を超えて過去からやってきたのだと思う。
火縄銃で、誰かがこっそり撃ったとは考えにくい。しんのすけが一緒に馬に乗っているのだから、的確に心臓を狙って又兵衛のみを撃ち抜くのは無理がある。

実際のところ、誰が撃ったのかはあまり関係がないのだと思う。重要なのは【又兵衛が死んだ】【廉姫と又兵衛は結ばれない】という結果のみだから。

シュタインズ=ゲートというタイムリープをテーマにした作品があるのだが、この作品における歴史の修正作用はものすごく強力で、死ぬと決定している人物はどう頑張っても死ぬ。殺される。事故で死ぬ。ありとあらゆる事故に気をつけても心臓発作で死ぬ。未知の病気で死ぬ。
原因や過程は関係なく、特定の人物が死ぬという結果だけが重要視される。

だから、撃ったのは誰だ、に対しては【犯人は誰でもない】強いて言うなら【名前も出てこないモブの雑兵】だし、何故死んだのかと聞かれれば、【それが運命だから】というのが答え。

何故死ななければならなかったのかについては、【又兵衛が死ぬことによって歴史が修正されないと、野原一家が現代に戻れない】これは又兵衛自身も悟っていたところがありますね。
あそこで撃たれて死ななくても又兵衛は近いうちに(数日の間に)死んでいたのだと思う。

又兵衛が生きていたら歴史は変わった?

ひろしが、春日の国のことを「聞いたことがない」と言っている辺りから、歴史上での春日という国は滅んでしまったか、歴史の表舞台に出ず大国に飲み込まれて消えてしまったのだと考えられる。
ラストシーンで廉姫が「どこへも嫁がない」と言っていた通り、生涯結婚せず、世継ぎが生まれなかったらそこでお終いですし。
ただ、この決意はしんのすけたちと過ごした数日間で廉姫の中に生まれたものだと思う。

又兵衛が生き残ると歴史が変わってしまうという事は、戦争での勝ち負けよりも廉姫の身の振り方というか、春日の国の存続辺りに影響があるんじゃないかなー

つまり、簡単に言うとこう。

  • 最初の合戦シーンで又兵衛が死ぬ→廉姫は高虎の求婚を受け入れ、嫁いで行ってしまう→春日国はやがて併合され消滅
  • 又兵衛が生き残り、数日の猶予を与えられたことで廉姫に決意が生まれる→又兵衛の死後も一生嫁がない→跡継ぎが生まれず、やがて春日の国は消滅
  • 又兵衛が死なず、廉姫と結婚する→跡継ぎが生まれ、春日の国は存続する?

本来の歴史(最初の合戦で又兵衛が死ぬ)では、想い人を失った廉姫はあっさり高虎の求婚を受け入れて嫁いで行ってしまったかもしれない。
身分は関係なく、好きな人同士であれば結婚できる世界があるという事を知らないわけですから…政略結婚は当たり前、姫という身分なら仕方がないと諦めるでしょうし、殿が結婚を断ろうと決意したのもひろしの言葉を聞いたから。

しかし、しんのすけが現れたことで又兵衛が生き残ると、話が変わってしまう。

春日の殿さまは、当時としてはかなり先進的な考えの持ち主だと思う。
どこの者とも分からない野原夫妻と直接会って話をし、カレーライスを食べ、いずれ国も何もなくなってしまう、殿さまも武士もいなくなると、しんのすけ や ひろしから聞かされても、怒るどころか平和な世の中には必要ないのだろうと納得してしまう。
保守的で頭の固い殿さまだったら、無礼だということで即刻打ち首にされてもおかしくない。

そんな殿さまなのだから、二人がお互いに好き合っていると知ったら案外あっさり結婚を許してくれたりするんじゃないかなーと思うんですよね。戦になる危険を承知で、高虎からの要求を断ったくらいなのだから。
これは、立場や建前よりも家族、個人としての情をとったということ。
だからいざ戦になった時、家臣が逃げ出したと聞いても咎めなかったわけで。

相思相愛の二人を引き離してまで、大事な一人娘を他国に嫁にやるよりは、人柄も家臣としても信用できる又兵衛と結婚させて、側に置きたいと思うんじゃないかなあ。時代背景だけを考えたらあり得ないことだけど…