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ぬじろぐ

メモです。議論やコメントは受け付けておりません。当方オタクの女ですので、唐突に腐ったりします。注意。

今更賢者の石の話

創作のネタになりそうな話 考えたこと

賢者の石はファンタジー作品によく出てくる便利アイテムですが、結局のところ何なのかは作品によってはバラバラだったり、あまりよくわかりませんよね。

元ネタは16〜17世紀頃に最盛を極めた錬金術からで、第五元素とか完全物質とか、大エリクシルとか呼ばれるものです。他にも、エーテル、ティンクトラ、アルカエスト…と数え上げればきりがない。
錬金術師のニコラス・フラメルパラケルスス)が作りだしたルビー色の石*1で、金属を黄金に変えるとか、あらゆる病を癒す霊薬*2だとか。

んで、便利すぎて結局正体がわからんのですこれが。
ハリー・ポッターではニコラス・フラメルが作ったことになってますね。これは元ネタ通り。不老不死になれる「命の水」を作るのに賢者の石が必要で、具体的な使い方はよくわかりませんが、悪の魔法使いが手に入れようとしていました。

スレイヤーズでは、伝説級のアイテムとして出てきますが誰が作ったのか分かりません。ものすごい魔力を持った石で、特に赤くはなく、石炭みたいな石ころとして描写されていたような。使用した人物に封じられていた魔王が復活。なぜか丸飲みしてましたが、多分飲み込む必要はありません。

鋼の錬金術師では、多数の人間を犠牲にすることで作成できるとされていました。赤い石の形をしてますが、実際は魂が凝縮された高密度のエネルギー体という設定。その製法をもたらしたのが主人公の父親であるホーエンハイムパラケルススの本名が元ネタです)…の血から作られたホムンクルス*3、なので、ある意味元ネタ通りといえるのか。錬金術そのものがテーマなだけあって、賢者の石まわりの設定はかなり元ネタに近いです。
等価交換、質量保存等の原則を無視出来るように見えますが、実際は莫大なエネルギーを消費してるので見せかけだけですね。
キンブリーが飲み込んで腹の中に隠していましたが、使うときは出して手に持ってましたね。身につけてるだけではダメなのかな?

パラケルススによると「物質を構成する元素である水銀と硫黄の「哲学的結婚」により作られる」ので、鋼の錬金術師に登場する製法は作品オリジナルですw

創作物中での使われ方としては、

  • 膨大なエネルギー(魔力)を持っている物質
  • 魔力増幅器(あくまで増幅であり、使う人が魔力を持っていて、かつ魔力の使い方を知らないと意味がない)
  • 超高性能演算機
  • 魔法のデータベース

こんな辺りでしょうか。

ハリー・ポッタースレイヤーズではすごい魔力を持った石!という面が強調されてる感じがしますね。これは作品が、魔法ベースのファンタジー世界だからかな。
鋼の錬金術師でも膨大なエネルギーの塊という点では同じですが、同時に練成陣のデータベースとしての役割も果たしていそうです。練成できるものの規模が上がるという効果のほかに、ノーモーションですごい練成を行ったり、錬金術の知識がなさそうな人が練成を行ったりしているので。

元ネタ的には、「錬金術で使われる本当の金を作る本当の金」だそうで(意味がよくわかりません)
金自体が、完全な物質に近いものという認識なのかな?
元々は錬金術の目的が金を作りだすことという辺りに関係するのでしょうが、錬金術で金を作れる!っていうのもときの為政者やパトロンにお金をださせるための方便なところありますしねえ。手品を使って金を出してみせて、錬金術の研究が進めば金がたくさん作れるようになりますよ!っていってお金を巻き上げて、そのお金で科学の研究をしてたわけですw
もっとも、錬金術師(科学者)たちが本当に金を作れると思ってたかどうかは分かりません。裏では、作れるわけないだろバーカwって舌を出してたかも。

現代日本なら、金を作りだすなんて無理に決まってるの、中学生でもわかりますね。
ものは分子がたくさん集まって出来ていて*4、分子を更に分解すると原子になって、金は金の原子で出来ていて、たとえば金と鉄では原子が違うのだから、燃やそうが薬品をかけようが、鉄が金に化けたりはしません。
原子を作るには巨大な隕石が落ちるとか、地殻変動とか、粒子加速器で衝突させるとか、かなりのエネルギーが必要になります。

ここから高校の物理レベルの話。

原子核は、陽子と中性子でできています。
原子核の周りを、電子(マイナスの電荷を帯びた粒子)が超高速で回っている状態。
これが原子。

原子核を作っている陽子と中性子の数=元素記号表についてる番号。
水素は陽子の数が1個だから水素の元素記号が1、ヘリウムが2、リチウムが3、以下略…103番まで発見されている。(ここまでは高校でやった記憶があります。)
天然にある元素は93個との事なので、残り10個は人工的に作られる元素なんですね。

原子を別の原子に変換する(鉄を金にする)=原子核の陽子の数を変える
ということになのですが、陽子と中性子は強い力でくっついていて、簡単に増やしたり減らしたりできません。

核といえば

…といえば、原子力発電や核爆弾に用いられているのはウランプルトニウム
原子を使うだけなら他の元素でもいいんじゃないの?って思ったので、ちょっと調べました。難しいね…間違ってるとこあるかも知れないので詳しく知りたい場合は各自で調べて下さい。

核分裂

現在核分裂発電に使っているウランは天然元素のなかで最も重い元素。プルトニウムは人工。
同じ原子でも中性子の数が違う*5ものがあり、ウランは235と238というやつがあります。ウラン235のほうが不安定で、これに中性子を与えてやると、原子核が分裂して、大量の熱エネルギーと中性子が発生します。その中性子によって、またウラン235原子核が分裂してエネルギーと中性子が…の繰り返し。この仕組みを使ってるのが核爆弾や原子力発電。連鎖的に反応が起こるので、制御に失敗すると暴走してしまうというデメリットが。

核融合

核分裂とは逆に、軽い元素を超高速で衝突させたり、超高温で融合させることによって、原子核を構成している陽子がくっつき、より重い元素になる。
その時に起こるエネルギーを発電に利用しようというのが核融合炉。分裂させるときのように連鎖反応は起きないので房総の心配はないが、技術的に難しくてまだ実現していない。
あと、起爆に莫大なエネルギーが必要なので、この核融合の原理を利用してる水素爆弾も結局核分裂エネルギーを利用してたりする。

どうも、重さが関係有るのかな?原子ならなんでも良いわけじゃないんですね。
常温核融合が実現したら、核変換によって錬金術も夢じゃ無いとか言われてますが。

閑話休題

…とまあ、長々書いてしまいましたが、そんなのが分かったのは割と最近の話で、昔は地水火風4つの元素でできていると考えられていました。
昔はというか、17世紀の話なんで、最近の話ですね。ファンタジーですね。

これらの四大元素全てを統括する完全な物質が作りだせれば、金なんていくらでも作れる!
そこで第五元素=大エリクシール=賢者の石 というわけです。

アルカエスト(第一質量)の名前で呼ばれる場合は、「4つの元素どれにでもなりえる材料、またはすべての物質を溶かして第一質量に戻せる物質」なのでちょっと意味が違うのかな?万能融化液とも言うらしいですね。

現代みたいに科学知識なんて一般人が持ってなかった時代。科学的に説明なんてしても分からないし研究の意義を説いても理解されない。金が作れますよ!と目先の利益を提示するのが手っ取り早かったんでしょうね。
まあ、金を大量に生産して流通させてしまったら市場価格が暴落して、ただの金属とあまり変わらなくなってしまうのですが。
宝石とかね。少ないから価値があるのです。あんなもん、たくさんあったらただの綺麗な石ころですよ。あ、ダイヤモンドは工業用として価値があるか。

大学の時、興味本位で西洋哲学史概論をとってたのですが、昔の人の世界感って面白いですね。
昔は哲学も科学も数学も天文学も生物学も全部一つの学問だったのです。
全てのものは水でできている、とか。
異世界ファンタジーの世界観設定の元ネタになってそうなものがぞろぞろ出てきます。


…注釈機能とか初めてつかったかも。
ほっとくとどんどん話題が脱線する癖があるので、うまいこと利用していきたい。

*1:ところで海外のファンタジーものを見るとちょいちょい「レッドストーン」という赤い石が出てくるのですが、これは賢者の石とは別物なのかな?

*2:FFでおなじみ、完全回復するアイテム「エリクサー」の元ネタもこの辺り。

*3:ホムンクルスは馬の胎盤や人間の血から作られ、あらゆる知識を持つがフラスコの中でしか生きられません。ホムンクルスという言葉自体が、フラスコの中の小人という意味。この辺りも元ネタ踏襲です。

*4:物は分子でできていて、分子は原子の組み合わせでできている。水は水素(H)が2つ、酸素(0)が1つでできているから、水分子はH2O。電気分解で、水素と酸素に分けることができます。と、ここまで中学でやったはず…水が電気分解されて化学反応を起こし、プルトニウムが生成されて被ばく!なんていうデマには引っかからないはずなのです……が……義務教育ってほんと大事ですよねえ

*5:同位体アイソトープ。なんか聞き覚えありますね? w

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