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ぬじろぐ

メモです。議論やコメントは受け付けておりません。当方オタクの女ですので、唐突に腐ったりします。注意。

その日も私はぼんやりと空の散歩を楽しんでいた。
目的はない。
夜中だというのに町には沢山の人が出歩いている。
しかし、私を見て驚く人は誰一人としていないし、考えてみれば出会ったことも無い。
当然のこととして受け入れられているか、或いは見えていないのだろう。
私が彼女を知ったのは一体いつのことだったか。
彼女も私のことを知っている。
しかし、実際に会ったことはない。
意識が繋がっている、とでもいうのだろうか。互いに特殊な能力を持ち合わせていた訳ではないから、恐らくは偶々繋がってしまっただけなのだ。他者の考えていることが読み取れたことは、少なくとも私には一度もない。
彼女とは明瞭に会話ができるわけではない。だが、物語でも読むように互いの考えていることを読み取ることはできる。
私は飛べる。けれど、彼女は飛べない。
「私も飛べたらよかったのに」
「そうすればこの牢獄から抜け出せるのに」
「あなたが羨ましい」
「私もいつか飛べるようになるかしら?」
(分かっている、私は決して飛ぶことなどできはしない)
「ねえ…知ってた?実は私も飛べるのよ」
やがて私は立派な建物の前に到着した。
巷でも有名な新興宗教の総本山。
中央には高く聳え立つ時計塔。
時刻は午前0時をさしている。
空は明るく、夕暮れ時とも見間違う程。
この屋上から。
今夜、彼女は飛び降りる。

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